雪山シーズンも終盤に入り、いつも行く低山には雪がなくなってきた。
2000m以上で探していて目についた、長野県上伊那郡南箕輪村の経ヶ岳。
五月には麓から山頂まで駆け上がり、麓まで下りてくるというランニングの大会が行われる様。
これ、登ってみて楽しい山だったら申込みしよう!ということで下見を兼ねて行くことに。
朝五時、いつもの山仲間と合流し経ヶ岳を目指す。
冬季は登山口までは行けないので、途中の一方向がゲートで閉ざされている三差路で、名古屋ナンバーの車が路上駐車しているところに、真似して並べて路駐。
ゲートに閉ざされた道路(冬季通行止め)が登山地図を見るとルートっぽいけど、もう一方の細い道路が道端に頂上まで何kmって標識があり、標識を信じてその道を進むことに。
あー、これ自分の文章力では伝えられませんね、写真撮ってとおけばよかった。
すぐに上りで、雪はないけど完全に凍結しているので、足を滑らせて転ばない様に気を付けて進む。
程なくして下りに。
下りの凍結路面は更に危険、命の危険すらある。
気を付けて足元を注視し下り終え、顔を上げると突然現れる村落。
こ、こんなところに村が?!
なにやら怪しげな雰囲気の村である、隠れ里だろうか。
よく見ると登山者用らしき駐車場があり、川越ナンバーと野田ナンバーの車が停めてある。
そのまま足をすすめると古い家屋の前におじいさんが。
こちらを見つめる鋭い瞳。
村を守る門番だろうか。
よ「おはようございます!」
門「山へ行くんか?この先は笹で通れんぞ!あちらのゲートの車道を行け!!」
よ「え?この先行けませんか?!」
なぜか右手に握りしめていたジャムマーガリンコッペで道の奥を指す。
コッペを見つめるじいさん、欲しいのかな?
門「笹で道なんてなくなっとるぞ!!」
よ「そうですか、ありがとうございます!!」
コッペを食べながら引き返す。
後から鋭い瞳で見送るじいさん。
奥で秘密の儀式が行われていて隠そうとしているのか、僕らはまだここを通るアイテムを集めていないからなのか、はたまた手前の三差路でスライムを倒してレベルアップが必要なのか、とりあえずまた危険な凍結路面を戻る。
川越と野田はこの関門をクリアできたのかしら。
無事に三差路に戻り、ゲートをこえて登山開始。
こちらにはところどころ雪が積もっていて、今朝付いたであろう足跡も一人分ある。
名古屋ナンバーの人のかしら。
登山口近くなると、頂上まであと何kmの看板が再び現れる。
気づくと足跡が三人分に増えている。
通る資格の厳しいルートから川越と野田が合流した様だ。
結局一時間ほど道路を歩き登山口へ。
雪は少ないのでトレイルランニングシューズのままいく。
黙々と歩くと、程なくして道端に腰かけてパンを食べるおじさんが。
よ「おはようございます!」
先1「。。。」
え?って感じで顔を見ると頭をちょこんと下げる。
照れ屋さんなのか、パンが詰まっているのか。
気にせず進む。
一つ目のピーク、アンテナピークでチェーンスパイク装着。
ちなみにこんな感じ。
冬季に人気な権兵衛峠ルート。
気持ちよく雪道を行くと、岳見岩。
あの大岩の上に登って見ろってことですかね、無理ですね。
そして、まっくん岩(三兄弟)。
まっくんというのは、このあたりのユルキャラのようです。
似たような岩が四つあるのになぜか三兄弟。
同行者と抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げていると、また先行者が。
よ「おはようございます!」
先2「。。。」
なんだ、最近の山は挨拶しないのか。
なんか今までの山のイメージが覆る。
気にせず進むとまたまた先行者が。
先行者その3にあまりプレッシャーをかけないように近付き、3mくらいまで近づいて、
よ「こんにちわ!」
先3「。。。」
無視である。
振り向きもしない。
同行者も追いついてくる。
同行者は熊よけの鈴を持っているのでチリンチリン近づいてくる。
先行者その3は振り向きもしない。
よ「聞こえてないのかな?」
同「そんなことないと思うけど。」
仕方ないから後ろに付いていく。
まさかイヤホンとか付けてるのかな?などと考えていると、突然脇に寄って振り向く。
年齢不詳の白メガネ。
よ「あ、こんにちわ。」
眼で先に行けと制す白メガネ。
もう完全に山のイメージ崩壊。
ていうか振り向いた時も突然背後に人が居て驚いたって感じでもなかったから、気づいてて歩き続けたよね。
なんか、ほんと気分悪い、人気のない山に来る人は変な人が多いのかな?
ちょっと気にしつつ先へ進む。
今まで三人抜いて、今日付いたであろう足跡がもう一人分ある。
となると、先行者は名古屋と川越と野田と、、、地元の人?
登山口までの道路には三人分だった気がするけど、、、などと考えていると
突然開ける景色。
樹氷。
北沢山ですね。
うん、今までの嫌な出来事など忘れ去りますね。
南アルプスは雲の中。
ここからは更に積雪が増え、先行者の足跡にかんじきが付いた様だし、そろそろスノーシューに変えたいところだけど、白メガネとの差があまり広がっていないと思うのでもうちょっとチェーンスパイクでがんばる。
だいぶ白メガネとの距離を開いたところでスノーシューに履き替え、こんな感じの樹氷の間を進む。
頂上直前の開けたとこで最後の先行者に遭遇。
この方がトレースを付けてくれた方かな?お礼を言いたいけどすっかり山のイメージが崩壊した今、挨拶帰ってこなかったらどうしよう?と思いいつつ
よ「こんにちわ!トレースありがとうございます!!」
先4「こんにちわ!いえいえどういたしまして。」
あ、普通に帰ってきた。
よ「まだ頂上じゃなかったんですねここ。」
先4「もうすぐですよ、ちょっと行ったところです。」
よ「そうですか、もうお帰りですよね?おつかれさまでした。」
先4「おつかれさまです。」
そ、そうだよね、これが普通だよね。
よかった、山のイメージが戻ってきた。
登頂。
なかなか開けていて景色最高。
むかしは木で覆われていたけど、台風で倒れてしまったそうな。
ちょうど違うルートから上ってくる登山者。
違「にんにちわ!」
しまった、先越された。
よ「こんにちわ!」
違「いやぁ、こちらはトレースなくて大変でした、脚が攣るかと思いました。」
よ「そうでしょうね、なんか冬季はこちらのルートがメインの様ですよね。」
違「そうですよね、行動記録見てもそちらのルートばかりですものね、そちらは登山者多いですか?」
よ「いえ、僕入れて、、、6人ですね。」
などと会話が続く。
そうですよね、これこそ山のイメージですよね。
他人との会話をひとしきり楽しんだ後、景色を見ながらお食事して、ドローン撮影して、恒例の恐竜作成。
うん、ここも雪質がいいからはかどる。
この前登った将ぎ頭山と木曽駒ヶ岳。
危険すぎて絶対登れない宝剣岳も。
結局風もなく暖か、、、くはないけど寒くなかったから頂上を一時間近く満喫。
下る。
下り始めると下から登ってくる人が。
あ!あいつは白メガネ!!
すれ違わんようにラインをずらして、、、あ、こっちがルートだと思ったのか、こっちに寄ってきやがった!さらに大きずらして回避。
あいつが一番印象悪かったのでホッとした。
更に下ると再び登ってくる人影が。
そうだよね、あと二人いるはずだよね。
今回は避けることはできず遭遇。
急な下りだったので脇へよけて
よ「どうぞ」
すると先行者その2も脇へよけて
先2「どうぞ」
あ、しゃべった。
よ「あ、そうですか、ではお先に、、、お疲れ様です。」
頭をちょこんと下げる先行者その2。
照れ屋さんか!
残すは先行者その1。
下ってもの下ってもすれ違う気配なし。
まあいいんだけど。
登りと下りでは見える景色が違う。
あ、御嶽。
この素敵な場所はコイノコ。
奥の木曽駒ヶ岳はだいぶ雲がかかってきた。
再び北沢山。
ここからは景観がなくなるので一目散に下る。
登山口まで下りてきて三差路までのルートをどうするか、、、そりゃ別ルートに行くでしょう!
別ルートに侵入した途端、笹が。
うんこれはたしかに笹がすごい。
川越と野田はよくこんなルートを朝から登ってきたな。
こんなところ歩いてきたのなら人間性が荒んでも仕方ないですね。
途中、橋が崩落していたり、笹が道をふさいでいたりで、たしかに通れたものじゃないですね。
おじいさん、疑ったり変な妄想したりして本当にごめんなさい、往路からあそこへ侵入していたら心が折れてました。
おじいさんの家の前をコソッと通過、、、しようとするけど同行者は熊よけの鈴を鳴らし続ける。
ばかかこいつ。
駐車場には野田ナンバーと川越ナンバーはとまったまま。
川越ナンバーの車に若干チンピラチックな改造が施されているので、白メガネを川越に決定。
並べてとめさせてもらった名古屋ナンバーはいなくなっていたので、トレースを付けてくれた方ということですね。
うん、なんかよかった。
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